白雲無盡時~2度目のアメリカ暮らしを終えて帰国

DC郊外のNorth Bethesdaで暮らしていました。旅、美術館巡り、スポーツ観戦などで日々を楽しんでいました。日本に帰国してからもこの趣味をどうやって続けるかが課題です。

Manchester by the Sea

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Bethesda Landmark Theaterで観てきました。久しぶりに心が揺さぶられる映画を見ました。今年観た中で最もよかった映画です。

過去と現在が一見脈絡がなく折り重なっていく構成を通して、取り返しのつかない事態を過去に引き起こしてしまった主人公の「自分を永遠に絶対に許さない」という強い覚悟が伝わってきます。言葉で説明されて伝わってくる、というのではありません。主人公はとにかく寡黙なので、言葉ではなく、表情やしぐさを通してダイレクトに伝わってきます。おかげでスラングだらけの英語はあまり理解できていないはずなのに、なぜかストーリーにどっぷりと入り込めます。名演技・名演出というのはこういうことをいうんだろうなぁと感じました。

しかも、悲壮なストーリーなのに随所にクスッと笑ってしまうシーンが配置されています。これ自体が人生そのもののように感じました。

主人公と元妻が偶然街で出会うシーンの会話では涙が止まりませんでした。この会話とその後のボヤがトリガーとなって、一生自分を許さないという覚悟は変わることがないものの、亡くなった兄の息子や周囲の人々とのかかわり方が変わり、主人公が一歩だけ渾身の力を込めて前に進む姿は、心に強く残りました。後味は悪くなく、むしろとても良い余韻が残る、よい映画でした。

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