白雲無盡時~2度目のアメリカ暮らし

DC郊外のNorth Bethesdaで暮らしています。旅、美術館巡り、スポーツ観戦を力いっぱい楽しんでいます。

人生最悪の日

Root Canal治療を終えて歯医者さんでAdvilとTylenolを飲んで家に帰ってきました。とくに痛みもなく、のん気にNetflixでHouse of Cards Season 2を見ていました。夫は夜に会食の予定が入っていたので、夕食の支度をする必要もありません。夕食の時間になりましたが、なにせこのドラマがとても面白いので空腹を無視して飲まず食わずで見続けました。

そして、おそらく午後7時40分すぎ。
第25話まで見終え、あと1話でSeason2も完結というところまで来て、そうだトイレに行こう、ということでバスルームに向かいました。

次に覚えているのは、目の前が白い床だったことです。あれ、私、寝てたんだっけ?ここはどこだろう、と思いながらぼんやりと起き上がると、血だらけになっていることに気が付きました。そして自分がバスルームに来ていたことを思い出しました。

どうやら気を失って倒れたようです。

メガネは壊れていました。
鏡で自分の顔を見ると、前歯が折れていました。
そして、たぶんその折れた前歯で口の中を切っています。その傷は鼻の下の皮膚まで貫通しているようです。
出血は続いていますが、貧血になるほどではありません。
ショック状態のせいか、痛みはほぼ感じません。
顔面の傷はこの他には見当たりません。

 

家で独りぼっちです。夫にSMSを送ってみましたが、返事はありません。たとえ返事があったとしても、職場から家に帰ってくるのに1時間はかかります。しばし呆然としていましたが、自分でなんとかするしかないので、気力を振り絞ることにしました。

午後8時前後。まずは血だらけの床を拭き、もし何かあったら行こうと予め調べていたUrgent CareクリニックであるPatient Firstに行くことにしました。ウェブサイトで診察時間を念のため調べてみると午後10時まで、と記載されていました。よかった、開いていると思い、Uberを呼んでクリニックに向かいました。ちなみに、素人判断ですが命に別条があるかんじではないので、ERには行きませんでした。

いざクリニックに着いてみると、車が一台も止まっていません。なんと、閉まっていたのです。玄関のガラスに記載された診察時間を見てみると午後8時までと記載されています。到着したのは午後8時18分・・・。

ここに来ればなんとかなると思って気力を振り絞ってきたのに、このあまりにひどい仕打ちにショックで立ちすくんでいると、なんとUberの運転手さんが開いているクリニックに心当たりがあるのでそこまで送り届けてくれる、とのこと。ありがたいことに、Uberの運転手さんはすぐには立ち去らずに、待っていてくれたのです。こんなに親切な人がいるなんて・・・。アメリカには神様がいる、と思いました。しかも無料で送って行ってくれるとのこと。とはいえ、それではあまりに申し訳なさすぎるため、現金でお礼をしました。

さて送り届けてくれた先はRighttime Medical Care。実は家から最寄りのクリニックです。ここの存在は以前から知っていましたが、Google Mapsでの評判がとにかく悪いため敬遠していました。とはいえ、そんなことを言っていられる状況ではないため、とにかく受診することにしました。

さて、クリニックの中に入ってみると、受診を待つ患者さんでごった返していました。英語を話す患者さんは少なく、ほとんどがスペイン語の患者さんでした。私のように服に血がついている患者さんはいませんでした。

患者さんが多すぎるせいか不機嫌な受付の人からタブレットを渡され、まずはレジストレーションしました。初めての受診なので、とにかく入力項目だらけ・・・。出血はまだ止まっていませんが、とにかく淡々と入力を済ませました。すべての入力を済ませると、受診予定時刻が午後8時40分と記載されていました。とにかく安静にしてジッと待合室で呼ばれるのを待ちました。冷房が強く、心細い気持ちも相まって、震えながら待ちました。

しばらくすると受付の人に呼ばれ、まだ何の診察もしていないのに支払いを命じられました。合計155ドル。えっそんなに安いの?縫うかもしれないのに?と半信半疑ながら支払いました。

午後9時過ぎにようやく看護師さんに診てもらえることになりました。まずは口の中を丁寧に洗ってくれました。鼻の下の皮膚も洗浄してくれました。縫うことになるでしょうね、とのこと。看護師さんがおでこを触ると痛みが走りました。これはたんこぶですね、とのこと。おうちにアイスパックありますか?と聞かれました。

このクリニックでは、看護師さんもお医者さんも、とても親切で心優しい対応をしてくださいました。日本ではこんなに心暖かい対応を医療関係者にしてもらったことはありません。。。心細い気持ちを勇気づけてもらえました。ここにも神様がいる、と思いました。

さて診察室でさらに待つこと約1時間。このころにはようやく夫とも連絡が付き、クリニックの待合室に迎えに来てくれました。

医師の診察はようやく10時20分ごろに始まりました。医師が縫うための準備として、口の中にリドカインを塗って表面麻酔をしてくれました。するとそのとき、折れていた前歯が傷口からぽろっと出てきたようです。歯でできた傷は深いものの感染の可能性があるので縫わないほうがよい、とのこと。傷口はそのままにしておくことになりました。そして、朝一番に歯医者さんに行って歯の治療をしてもらうように、とのこと。牛乳が入った容器に折れた歯を入れて持ち帰らせてくれました。歯医者さんの予約がとれないかもしれないです・・・と弱気な気持ちを伝えると、電話せずにとにかく朝一番に歯医者さんに行って状況を説明すれば診てもらえますよ、とのこと。

どうなるかわかりませんが、とにかくそうすることにしました。鼻の下の傷には大きな絆創膏が貼られ、まるでちょび髭をはやしているような滑稽な風情です。処方箋には抗生物質と痛み止めを出してくれました。

診察室を出たのは午後11時前。待合室には夫以外は誰もいませんでした。夫の顔を見つけてホッとしました。外はもう真っ暗になっていました。

家に帰ってくると、それまで気づきませんでしたが、頭を打ったせいか横向くとめまいがします。とはいえ、とくに頭痛もなく、顔面に青あざも出てきません。口のなかの痛みはリドカインのおかげか、とくにありません。折れた前歯のあたりも特に痛くありません。むしろRoot Canal治療で入れた仮歯が噛むと痛いくらいでした。

痛みはほとんどないものの、その夜は興奮状態のせいかショック状態のせいか、あまり眠れませんでした。

そして翌朝。
かかりつけの歯医者さんの診察開始時刻は午前8時30分です。口を負傷しているため話すのは極力控えたいところです。そこで、何が起きたかを説明する文書を作成して持参しました。8時15分ごろに歯医者さんに到着し、待合室で待機。受付の人が受付に現れたときに、その文書を渡したところ、真っ先に診てもらえることになりました。ここにも神様がいました。

いつも診てもらっている先生は不在のため、もう一人の先生に診てもらうことになりました。いつも担当してくれている歯科助手の人も駆けつけてくれて心配してくれました。牛乳に浸して一晩保管した歯を渡し、治療が開始しました。前歯に痛みがないため、応急処置として折れた歯をそのままくっつけることになりました。気になっていた口の中の傷は治り始めているとのこと。縫わなくて正解だったようです。

鮮やかな手技であっという間に折れた歯を接着してくれました。この歯医者さんの技術は本当に素晴らしいです。治療費600ドル。歯医者さんは、とにかく高い・・・。翌週診察に来るようにと指示され、この日の治療は終了。


さて、なぜ気を失ったのかは今でもわかりませんが、もう若くないことを自覚し、

  1. 空腹や脱水状態には注意しなければならないし、
  2. 歯医者さんが大丈夫と言ったとしても、AdvilとTylenolを一緒に飲むのは今後一切やめよう、

と思いました。打ち所が悪ければもっとひどいことが起きていただけに、これくらいのケガで済んで、心の底からありがたいと思いました。そして、今回助けてくださったすべての人に感謝の気持ちでいっぱいです。ありがとうございました。

 

ところで困ったことがあります。
前歯はついさっき接着した状態です。奥歯もRoot Canal治療をしたばかりで噛めません。上唇も通常の2倍程度に腫れ、鼻の下も切れているので、怖くて満足に口を開けることもできません。そしてなんといっても口の中の傷がどうなっているのか自分ではわからないので、口の中に食べ物を入れる気になりません。

とはいえ何も食べないわけにもいきません。何を食べるとよいのでしょうか・・・。それについてはまた次回。

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