環境映画祭で観た2本目の映画はPoint of No Returnです。
この映画は、スイスのチームが太陽光発電でのみ動く飛行機で世界初の世界一周を成し遂げる苦難と栄光のお話です。ロマンにあふれ、プロジェクトX並みに、鑑賞後の余韻が最高に気持ちいい映画でした。
この飛行機は太陽光でのみ動くのでそんなに馬力はありません。そのためにとにかく軽くする必要があり、コクピットには気圧をコントロールする機能すらなく、もちろんエアコンもありません。しかも、翼が普通のジェット機並みに大きい割には総重量はSUV1台分くらいに抑えているため、とにかく操縦が難しく、パイロットの負担がとにかく大きい代物です。そんななか、なんと、自動走行モードが故障したままで太平洋上を6日間ほとんど寝ずに飛行しなければいけなくなったときには、(無事飛行したことがわかっているのに)パイロットとプロジェクトの成功を心から祈ってしまいました。
映画の後には、この映画を製作した監督と実際のパイロットによるQ&Aセッションが設けられていました。パイロットが登壇した時には会場が興奮の渦に包まれました。
「この機体は人を運ぶために作ったわけではなく、メッセージを運ぶために作った」
「10数年のプロジェクトで、かかった費用は140億円。多いように聞こえるけれども、実際にはF1チームの10%にも満たない」
「宣伝費用やマーケティング費用には巨額を使うのに、未来のためになぜ使わないのか」
「太陽光発電で動く飛行機の商用化は数十年単位で先の話だが、電気で動く飛行機の開発はすぐすこまで来ている」
「未来の可能性のために、自分ができることがあるとしたら、やらない理由はない。」
などなど、しみじみと心に響きました。
今年の映画祭では、この映画で打ち止めです。たった2本しか見れませんでしたが、今年もとても質の良いものをみることができて大満足です。