白雲無盡時~2度目のアメリカ暮らしを終えて帰国

DC郊外のNorth Bethesdaで暮らしていました。旅、美術館巡り、スポーツ観戦などで日々を楽しんでいました。日本に帰国してからもこの趣味をどうやって続けるかが課題です。

2016年のアメリカ大統領選

大統領選が終わりました。毎度大統領選のときには中傷合戦が繰り広げられるわけですが、今回は、良識ある大人はそれは言わないよね、という暗黙的なルールを完全に無視した新しい展開でした。投票日当日までテレビは中傷コマーシャルで埋め尽くされていました。

CNNとABCの特番で開票結果を観ていると、開票が進むにつれてレポーターやアンカー陣は悲痛な面持ちに包まれていきました。建前の国アメリカで、リアルを見た一瞬でした。

CBSのStephen Colbertの夜の番組もライブだったわけですが、悲痛そのものでした。冒頭のコーナーに招いた2人の政治ジャーナリスト(John Heilemann と Mark Halperin)と一緒に、信じがたい状況をどうにか消化しようとしている様子は印象的でした。「今の合衆国をMRIで分析したとしたら、一体どんな診断になると思いますか?」「MRIで統合失調症を診断できないでしょう?」

0時くらいになって、おそらくこのまま状況は進んでしまうんだろうな、というところで寝ました。

翌朝、トランプが次期大統領になったことを確認しました。ABCのGMAは沈鬱な雰囲気でした。徹夜明けで疲れていたのもあると思います。

トランプの勝利演説は、これまでのトーンとは別人でした。メキシコを電撃訪問した時も、メキシコ大統領の前では借りてきた猫みたいでしたが、それに似た印象でした。

そして11時半ごろにヒラリーの敗北演説がありました。この演説は同じ女性として衝撃的なほどに胸を打ちました。何かに一生懸命に打ち込んだことがある女性にはぜひ聞いてもらいたい名演説です。この演説はこれまでの自分の人生の走馬燈のような瞬間でした。

さて、都会 vs 地方、Establishment vs 取り残された人、など、先進国ではどこでも見かける構図がアメリカにもあり、アメリカの大統領選の仕組み上は後者の意見が通りました。トランプは実現することが難しそうなことを複数公言していましたが、この先どうなっていくんでしょうね。約束したことを実現しなかったら、これまでの政治家と同じなのでは、と思いますが、Establishmentが右往左往するのを見ることができれば、それだけでも一般大衆の溜飲は下がるんでしょうか。一方で、大統領府と議会が解消されることになり、株価も上がったし、ドルも安定しているし・・・。おかげで円を売るタイミングを逸しました。

 

それにしても、CNNのJohn Kingは大統領選の数字Geekでした。アンカー陣が悲痛な面持ちになっていく中で、ひとりだけ刻一刻と変わっていく各種数字を分析して6時間以上も話し続ける集中力と情熱にアッパレです。

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