白雲無盡時~2度目のアメリカ暮らしを終えて帰国

DC郊外のNorth Bethesdaで暮らしていました。旅、美術館巡り、スポーツ観戦などで日々を楽しんでいました。日本に帰国してからもこの趣味をどうやって続けるかが課題です。

SULLY

Bethesdaの映画館でSULLYを見てきました。とても秀逸な作品でした。ハラハラしながらの90分ですが、鑑賞後は熱くて暖かい気持ちになります。オススメです。

以下はネタバレを含んでいますので、ご注意ください。

Bird Strikeで両翼のエンジンが止まってしまい、そこからたった40秒足らずでハドソン川に着水することを最終決断する機長Sully。しかも、Bird Strike直後にすぐにハドソン川への着水の可能性を念頭に入れつつ、これまでの経験とノウハウのすべてを淡々と結集させて、冷静に状況を確認・分析し、やるべきことを実行。管制塔ともやりとり。そして最終決断後からわずか170秒足らずでハドソン川に着水。CAも乗客がパニックに陥りそうな中でも着水時の衝撃に耐える姿勢を指示し、着水後は適切に避難誘導。そんな中、機長は最後まで飛行機に残り、全員が退出した後でも、逃げ遅れた人がいないかを再度入念に確認して、本当に最後に飛行機から降りる。

凍てつく寒さの中、沈みゆく飛行機の上で救助を待つ乗員・乗客。Coast Guardもすぐに反応し、漂流している乗客を船に収容。その乗客を赤十字スタッフが陸で迎えて救急車で運んでいく。まさに流れるような連携プレー。各自がそれぞれの役割と仕事を全うさせたからこそなしえたハドソン川の奇跡の生還。・・・とここまで書いていて、また感動がよみがえってしまいました。

しかし、その後、事故調査委員会はSullyの判断が間違っていた、という決めつけのもと調査を進めていく・・・。まさに「事件は会議室で起きているんじゃない、現場で起きているんだ!」状態でした。コンピューターによるシミュレーションではラガーディア空港に無事に帰れた、と。

この理不尽さに壮絶に身もだえします。左エンジンは壊れていなかったとも。極限のプレッシャーに押しつぶされそうになるSully。それでも自分を信じて、状況を打開していく。そして、公聴会で鮮やかに判断の正しさを証明する。シミュレーションでは、Bird Strikeからたった2秒でラガーディア空港に戻る操作に入っていたことを突き止め、さらにシミュレーションするまでにその操作を17回練習したこと。でも、現実は、2秒で空港に引き返すことを決められるわけがないし、今回のケースを事前に練習するような訓練も誰も受けていない。自分のすごさを自慢するなんてことも一切なく、ただただ謙虚に現実の状況を調査委員会に理解させていく。

このスケールではありませんが、この手の理不尽さにはこれまでの仕事人生で何度も晒されてきたので、何だかしみじみと感じ入りました。私の場合は、残念ながら、力不足なので責めを負わされてばかりでした・・・。

さて、話はSullyに戻り、Sullyの心の温かさ、思いやり、謙虚さには、心が温かくなってジーンとしました。本当の一流の人は、こうだよな~と、改めて感動しました。エンドロールが流れ始めてしばらくたつと、本物のSullyと当時の乗員乗客のReunionの様子が映し出されます。この暖かい交流もグッときました。

しかしながら、ここまで残って映画を見続けている観客は、どうやら私だけでした。それでもかまわずに見ていると、掃除のおじさんが入ってきて掃除をはじめ、最後に私のところに来てこの映画の感想を熱っぽく話していました。「He is THE hero.」どうやらおじさんもこの映画が好きな模様。よい映画でした。

 

映画の英語が100%聞き取れるわけではないので、大事なセリフを聞き逃していることも多々あるのですが、100%理解できなくても十分楽しむことができました。

 

 

 

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