白雲無盡時~2度目のアメリカ暮らしを終えて帰国

DC郊外のNorth Bethesdaで暮らしていました。旅、美術館巡り、スポーツ観戦などで日々を楽しんでいました。日本に帰国してからもこの趣味をどうやって続けるかが課題です。

National Gallery of Art再訪

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NGAでは5月下旬までSally Mann展が開催されています。The New York Timesでも大々的に取り上げられていたので気になっていました。

というわけでNGAに久しぶりに行ってきました。思ったよりもSally Mann展は人気でした。ほとんどがモノクロの写真です。自然が被写体になった作品は、幽玄さが際立っていました。一方で、人間が被写体になっている作品には力強さがみなぎっていて、全体を通して生と死の表裏一体さを感じました。

ほかにもCezanne Portrait展も開催されていました。ひたすらセザンヌが描いた肖像画が展示されていて、それはそれで面白かったです。こちらにもたくさんの観客がいました。

East BuidlingではOutliers and American Vanguard展が開催されていて、これはこれで個性的で、とても興味深い展示でした。なかでもHorace Pippinの作品には心惹かれました。色使いと配置が印象的で、しばらく絵の前から動けませんでした。

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いつ来ても、National Galleryでは最高の鑑賞体験を得ることができます。

 

日系ヘアサロンでも油断は禁物

1月にLAに行ったときに、日系のヘアサロンでパーマとカットをしてもらって大満足でした。あれから3か月が経ち、パーマは依然としてパーフェクトな状態ですが、だんだん髪が傷んできたような気がしたので、そろそろヘアサロンに行きたいなと思い始めました。

そこで、ロックビルにある日系のヘアサロンHair Design Zoneに恐る恐る行ってみることにしました。予約はすぐに取れて、トリートメントとカットをお願いすることにしました。

予約した時間の15分前にお店に到着。するとコンサルティングもなく、すぐにトリートメントの施術が始まりました。5段階の日本風トリートメントをお願いしたところ、何かの液をひたすらつけて髪を梳かしていきます。そんなにまっすぐに梳かすと、お気に入りのパーマが取れてしまう、と恐怖におののきました。しかも大切な毛が抜けていく感触もしばしばです。

次にカット。これがひどい。

まずは希望を聞いてくれましたが、サンプル写真で仕上がりを確かめるということもなく、単に口頭で聞かれるだけです。嫌な予感がしたので、毛先を0.5インチくらい切るだけにしました。前髪も切ってもらいましたが、これが、まさかのパッツン切り。アジア人に多い、額に斜めにクルンとなる前髪を希望していたのに、パッツンです。日本だと何も言わなくても斜め前髪に仕上げてくれますが、ここはアメリカ。日系サロンだからと安心していた私が悪いんです。英語でしっかりと斜め前髪を説明できなかった私が悪いんです。カットが進むにつれて、底なしに気分が落ちていきます。

そして仕上げのブロー。完全にストレートに乾かすか、生乾きでパーマのかんじを出すかの2択が提案されました。前者は論外ですが、後者も驚愕の提案です。というのも、生乾き状態はキューティクルが開いたままだから傷みやすいのですよ・・・。結局生乾きを選択しましたが、日本の常識とアメリカの常識は違うことを改めて実感しました。さらに悲しいことに、「その分け目で分けてしまうと最もいまいちな仕上がりになる」というまさにその分け目で仕上げられてしまいました。仕上がりを鏡で見るのも嫌になりました。

最後にお会計。カット55ドル。トリートメント75ドル。さらにチップ。仕上がりに全く満足していないのに、合計150ドル強をお支払い。

そして、懸念だったお気に入りのパーマですが、無残に取れてしまいました。トリートメントをするとパーマが取れてしまうことを知らなかった私が悪いのですが、トリートメントをするとパーマが取れる可能性があることを言ってほしかったです・・・。コンサルテーションもなく施術されてしまうと、こういうことになってしまうんだなぁと、改めて勉強になりました。

ヘアサロンでこんなに暗澹たる気持ちになったことは初めてです。前髪があまりに気に入らないので、家についてすぐに自分で切りなおしました。

AMP by Strathmoreでジャズを鑑賞してがっかりした件

近所のPike & RoseというショッピングモールにはAMP by Strathmoreという小さなライブ会場があります。近所で気軽にジャズを楽しめるのはいいなぁと思い、先日初めて行ってみました。

まずはAMPのウェブサイトで演奏日程を調べます。行きたい日に演奏しているアーティストはジャズピアニスト。ウェブサイトで紹介されているYouTubeの演奏を見る限りは、なんだか素敵。というわけで、ウェブサイトでチケットを購入しました。チケットは座席ありが35ドル、スタンディングが27ドルです。

チケット購入後はウェブサイトからプリントアウトして持っていく形式ではありません。Will Call形式、つまり、当日チケットオフィスに立ち寄って名前を伝えてチケットをもらう方式です。チケットオフィスはGapとiPicTheaterの間にひっそりとたたずんでいるので、ややわかりにくいです。

そして会場に入ると、カフェテリア形式でテーブルと座席が並んでいます。ざっと見たところ120名くらいが座れそうです。食事をしている人もいれば、飲み物を頼んでいるだけの人もいます。ステージはこじんまりとしているもののシンプルですっきりしていて期待感が高まります。

そして演奏が始まりました。メインのジャズピアニストのほかにもバイオリン2名、ビオラ1名、チェロ1名、ベース、ドラム、ボーカル3名の構成。

しかし開始早々これまでに感じたことがない違和感を覚えました。メインのピアニストがそもそもそんなにうまくない・・・。そして弦楽器もひどい・・・。極めつけはボーカル。聞くに堪えないひどい歌声で、うっかり眉間にしわが寄ってしまいました。

そのあとに出てきたスペシャルゲストのバイオリニストが唯一の救いでした。彼女はうまかった。しかしさらに出てきたスペシャルゲストのボーカリストは・・・動きは聖子ちゃん。それだけならまだよいのですが、声が濁声で、これまた聞くに堪えないレベル。昔はうまかったのかもしれませんが・・・。

音楽鑑賞が苦行となったのは初めてです。演奏が終わると、いそいそと帰りました。そもそもチケットが35ドルだったのは、パフォーマンスのレベルに比例していたからだろうと、自分で自分を納得させるしかありませんでした。

 

Hirshhorn Museum再訪

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久しぶりにHirshhornで作品を鑑賞しました。展示はすっかり新しいものに変わっていて、2階だけでなく3階の常設展示もガラッと変わっていました。この写真は3階の常設展示です。手前の4つの写真は杉本博司氏の作品です。私自身は写真に関心がないので、この作品自体にはとくに興味を覚えなかったですが、建物の曲線、白い壁、その奥の部屋の作品の色合い、そしてこの作品の配置がすごく調和していて、しばらく見とれてしまいました。

それにしても、Jean-Paul RiopelleやJackson Pollockの作品の展示がHirshhorn Museumからなくなっていたことには衝撃を受けました。彼らの作品を見るためにHirshhornに足を運んでいたのですが、これからどうしたらよいものか・・・。

ちなみにいつもならほとんど観客はいないのですが、この日はSpring Break中ということもあって館内は比較的混雑していました。

 

車のフロントグラスに小さなひび

先日の大雪での走行で車がとても汚れてしまったので、近所の洗車場に行ってきました。

機械洗車場でピカピカになったあとは、人力で拭いて仕上げてくれます。いつもなら拭き掃除後に車に乗り込んで洗車場を後にするのですが、この日は拭き掃除後に話しかけてくるお兄さんがいました。なんとフロントガラスに1cmくらいの小さなひびが出来ているとのこと。(ちなみに英語では Windshield Chipsといいます。)これくらいなら今すぐ直せるよ、とのこと。そういえば先日の大雪での走行時に、小石のようなものがフロントガラスに飛んできた感覚がありました。放置しているとひびが大きくなりかねないので、早速お願いすることにしました。傷が小さいこともあって、修理は10分足らずで終了し、費用は60ドルでした。これとは別にチップとして10ドルほど渡しました。

どうやらこのお兄さんは洗車場で傷ついたフロントガラスを見つけては修理を売り込んで実際に修理するというビジネスモデルを確立しているようです。Win-Winなコバンザメ商法だと、とても感心しました。

今、相場をウェブサイトで調べてみたところ、50ドル前後の模様でした。ややお高い買い物だったようですが、便利だったので全然OKです。

Point of No Return @ Environmental Film Festival in the Nation's Capital 2018

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環境映画祭で観た2本目の映画はPoint of No Returnです。

この映画は、スイスのチームが太陽光発電でのみ動く飛行機で世界初の世界一周を成し遂げる苦難と栄光のお話です。ロマンにあふれ、プロジェクトX並みに、鑑賞後の余韻が最高に気持ちいい映画でした。

この飛行機は太陽光でのみ動くのでそんなに馬力はありません。そのためにとにかく軽くする必要があり、コクピットには気圧をコントロールする機能すらなく、もちろんエアコンもありません。しかも、翼が普通のジェット機並みに大きい割には総重量はSUV1台分くらいに抑えているため、とにかく操縦が難しく、パイロットの負担がとにかく大きい代物です。そんななか、なんと、自動走行モードが故障したままで太平洋上を6日間ほとんど寝ずに飛行しなければいけなくなったときには、(無事飛行したことがわかっているのに)パイロットとプロジェクトの成功を心から祈ってしまいました。

映画の後には、この映画を製作した監督と実際のパイロットによるQ&Aセッションが設けられていました。パイロットが登壇した時には会場が興奮の渦に包まれました。

「この機体は人を運ぶために作ったわけではなく、メッセージを運ぶために作った」

「10数年のプロジェクトで、かかった費用は140億円。多いように聞こえるけれども、実際にはF1チームの10%にも満たない」

「宣伝費用やマーケティング費用には巨額を使うのに、未来のためになぜ使わないのか」

「太陽光発電で動く飛行機の商用化は数十年単位で先の話だが、電気で動く飛行機の開発はすぐすこまで来ている」

「未来の可能性のために、自分ができることがあるとしたら、やらない理由はない。」

などなど、しみじみと心に響きました。

今年の映画祭では、この映画で打ち止めです。たった2本しか見れませんでしたが、今年もとても質の良いものをみることができて大満足です。

大雪でハイウェイを疾走

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今年は雪が少なかったのですが、よりによってピッツバーグからベセスダに帰ってくる日に限って雪が降りました。しかも大雪です。

ペンシルバニアのPAターンパイクはそもそも路面のコンディションが良くない上に、雪が積もり始めていました。標高が高いSomersetあたりまでくると、吹雪で前が良い見えないこともあって、制限速度は45MPHに制限されていますが、そもそもそんなスピードすら怖くて出せる状況ではありません。当然スノータイヤでもないので、ハザードランプを付けながら、とにかく安全だと感じる速度で走行するしかありませんでした。道中では、普段ならほとんどみないレベルの派手な事故を2件ほど見てしまいました。

メリーランドに近づくにしたがって吹雪がやや減って、道も除雪がしっかりされているため、ややほっとした気持ちで走行することができました。

雪道での車の運転は、避けれるものなら避けたいです。

 

Johnstown Flood National Memorial

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ペンシルバニア州のジョンズタウンに行ってきました。1889年に上流のダムが決壊して2000人以上が亡くなるという惨事が発生した場所です。しかもその上流のダムというのが、当時の大資本家たち向けの高級保養地クラブの人造湖のためにあった、というのがなおさら災害の悲劇性を高めています。あのDavid McCulloughが著作の第1作目でこの惨事を取り上げ、その後ノンフィクション作家かつ歴史家として名をはせることにもなりました。

ナショナルパークはジョンズタウンから15マイルほど離れた場所にありました。昔人造湖があったほとりだったそうです。今は単に緩やかな谷になっていて、谷の底に川が流れていました。あたりにはビジターセンター以外にはほぼ何もなく、昔の痕跡はほとんど見当たりませんでした。

ビジターセンターの展示で興味深かったのは、この大惨事の責任を大資本家たちだけに押し付けていない点でした。

Hot Grease @ Environmental Film Festival in the Nation's Capital 2018

今年もEnvironmental Film Festival in the Nation's Capital が始まりました。毎年この時期にDCで開催されている映画祭で、ダウンタウンDCの各地で会期中(10日間くらい)に環境に関する映画が100本以上の公開されます。運営本部によると毎年3万人以上が参加するとのこと。

昨年は8本くらい観に行きました。今年も積極的に参加したいところですが、平日の夜に出かける回数が多くて疲れた記憶が色濃く残っているので、今年は数を絞って参加することにしました。

そのうちの1本がHot Grease。これはバイオディーゼルに関する映画です。

少しでも環境に対する負荷を下げるために、ディーゼル燃料にバイオ燃料(バイオディーゼル)を数%混ぜるように規制強化を推進しようとするものの、石油業界のロビー活動により、ホワイトハウスや議会はなかなか規制強化に動かず、草の根的に伸びつつあったバイオディーゼル関連産業も苦境に立たされているものの高い志のもと頑張り続けている、というようなストーリー。バイオディーゼルというもの自体を知らなかったので、それなりに勉強になりました。

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